繰出霊璽への筆耕 ― 文字を託していただくということ
神道の繰出霊璽への筆耕
― ご縁に感謝して ―
先日の水塔婆に続き、今回は神道の「繰出霊璽」への筆耕をご依頼いただきました。
霊璽とは、仏教でいうお位牌にあたるもの。
繰出霊璽は、複数のご先祖様の霊号を記した木札を、
一つに納める形式のものです。
今回のご依頼は、正面から見える前札1枚と、
中に納める4枚の計5枚、
表裏合わせて9面への筆耕でした。
実は、最初にお声がけいただいた際は、ほかの仕事や先の筆耕や、予定が重なっており、十分な時間を確保することが難しく、一度お断りしておりました。
その際、ご依頼主さまから、
「こういう文字で残したいと思った」
という、大変ありがたいお言葉をいただきました。
数ある書き手の中から私の文字を見つけ、
大切なご先祖様のお名前を託したいと
思ってくださったこと。
書に携わる者として、本当に光栄なことでした🙏✨
その後、先にお引き受けしていた筆耕が一段落し、改めてこちらからご連絡したところ、大変お喜びくださり、
今回のご縁につながりました。
お預かりしたのは、ヒノキの小さな木札。
限られた寸法に
霊号や帰幽年月日、享年を収めるため、
文字数に応じた割付から始めました。
木材への筆耕は、紙とは異なり、
墨の滲み具合にも注意が必要です。
試筆を重ね、下処理の効果を確かめながら、文字の輪郭と判読性を大切に、一文字ずつ仕上げていきました。
制作中も、ご依頼主さまは何度も
温かいお言葉をかけてくださいました。
おこころ小さな文字を書くことへのお心遣いや
こちらの作業時間へのお気遣い。
終始こちらを気遣ってくださる、
そのお心が本当にありがたく、励みになりました。
お引き渡し後、
ご主人様にも大変喜んでいただけたとのご連絡を頂戴し、ようやく安堵いたしました。
書のお仕事は、文字を美しく丁寧に書くことはもちろんですが、その先にある、ご依頼くださった方の思いや願いに向き合うことも大切だと、改めて感じました。
大切なご先祖様のお名前を、
これから先も残していくためのお手伝い。
そのような機会をいただけたことに、
心より感謝しております。
この度は大切なお仕事をお任せいただき、
本当にありがとうございました。
